「Hugin」を使って簡単パノラマ写真

かなり前のことだが、旅行に行った時に、かなり大きい池のほとりで対岸の写真を一回り撮り(フィルムカメラです)、焼いたものを繋いで長い写真にして部屋に張って、雰囲気に浸ろうとしたことがあるが、今、同じようなことがパソコンを使って簡単に出来まず。今回は「Hugin」を使ってパノラマ写真を作ってみたいと思います。

連続した写真を繋ぎ合わせるのは少し面倒な作業だが、このソフトは写真をまとめて処理し、角度の調整を含めた位置合わせはソフトがやってくれます。写真毎の微妙な露出、ホワイトバランスの差は自動で調整して繋ぎ合わせます。プレビューで必要に応じて傾きの調整、トリミングの範囲を指定すれば、そのままの写真が完成します。
このソフトは横方向だけでなく、縦方向の合成も出来るのでこれも試してみたいと思います。

(条件)
Mac OS X10.6
Hugin 2012
カメラ;リコー CX4
    ズーム無し 焦点距離4.9mm、焦点距離換算係数(28÷4.9=5.71)或いは焦点距離          28mm(35mm換算)、焦点距離換算係数1 .0
   ※1(参考)水平画角;約65° 垂直画角;約46°

パノラマ写真作成手順
1、写真撮影
2、パノラマ合成
(1)「Hugin」の起動
(2)画像の読み込み
アシスタントタブから「①画像を登録…」ボタンをクリックし、画像ファイルを選択します。「shift」キー又は「command」キーを押しながら選択して複数ファイルを同時に選択します。
(3)「カメラとレンズのデータ」ウィンドウが開いたら、焦点距離と焦点距離換算係数又は水平画角を入力する。CX4の場合、焦点距離に28、焦点距離換算係数に1を入力。この値は正確に入れないと配置した写真に曲がり等が生じる。水平画角は入力しない。
(4)アシスタントタブから「②配置…」ボタンをクリックする。
画像は球面に貼付けた状態に投影される。
「アシスタントを実行中」のウィンドウが表示され、完了すると「プレビュー」ウィンドウが開く。
(5)「プレビュー」ウィンドウの右下を下方向にドラッグして広げると画像が見えてくる。
デフォルトの投影法「心射円筒」を使用。
「移動/ドラッグ」は画像を変形させるのに使う。
「切り抜き」は画像の上下左右の範囲設定をするのに使う。
(6)プレビューに問題が無ければウィンドウを閉じて、アシスタントタブから「③パノラマを作成…」ボタンををクリックする。
「PTBatcherGUI」が起動して、「ステッチ」工程の実行ウィンドウが表示され、ファイルが作成される。

360°パノラマ写真作成
カメラは手持ちのため、上下位置、角度共に正確ではなく、体の向きも目測である。これにより、写真同士の上下のバラツキがあると、上下の有効範囲が狭くなり、完成時の縦幅が狭いものになります。
(1)写真撮影1(カメラの向き;水平)
周囲の景色を360°撮影。全体を12等分とし、30°間隔で撮影。角度は目測。
カメラの水平画角>分割角度で、各写真のオーバーラップは十分にあります。
撮影枚数は8枚でも問題無いと思います。

写真1-3 写真4-6 写真7-9 写真10-12
撮影した写真(太平山神社の駐車場)12枚

カメラとレンズ
カメラとレンズのデータ設定

プレビュー
プレビュー画面

駐車場
パノラマ合成写真
 
12枚の写真の中にズレの大きいものがあり、上部のカット量が大きく、縦幅の狭いものとなった。

(2)写真撮影2(カメラの向き;縦)
360°を15等分して撮影。分割角度は24°。
撮影枚数は10枚でも問題無いと思います。

駐車場2
パノラマ合成写真

③写真が2行(段)にわたる場合のパノラマ写真作成
写真の並びは図の様に2枚×2行。
写真をを全て登録して配置、パノラマ作成を行う。


(サンプル1)
並び3
撮影した写真(大平山神社北側入口)2 枚×2行

JINJJA
パノラマ合成写真
   
(サンプル2)
並べ方2
撮影した写真(栃木駅南口付近、3枚×2行)

EKIF
パノラマ合成写真


④写真が3行(段)にわたる場合のパノラマ写真作成

写真の並びは図の様に1枚×3行。
(1)写真をを全て登録して配置、パノラマ作成を行う。
   結果;NG。
(2)下2行でパノラマを合成し、出来た写真と上1行の写真でパノラマ合成をする。
   結果;変形が大きくやはりNG
(3)写真を90°回転させて横向きにしてパノラマ合成をして、出来た写真を90°戻す。
   結果;問題無し。
RO変換
撮影した写真        90°回転
(壬生町 H2ロケット)

ROF
パノラマ合成写真(90°回せば完成)


⑤最後に

(1)「Hugin」を使えば簡単にパノラマ写真を作る事が出来ます。
(2)写真撮影ではカメラを手で持って撮影した場合、高さのバラツキが出易く、パノラマ撮影用雲台   を使えばより良いと思われます。
(3)撮影対象(被写体)とカメラの距離を考えて撮影範囲(角度)を適切に設定するのが見栄えの良   いパノラマ写真作成のヒントになると思います。
(4)複数行の写真の場合、2行ではそのまま簡単に出来ます。3行の場合、写真を90°回転させてか   ら合成すれば可能です。但し、回転させた写真が2行までという制限が付くため、元の写真は横   方向は2枚まで、縦方向3枚となります。
(5)写真の範囲を真上までとした場合、カメラの垂直画角から考えると、私の使ったカメラでは3行   を超えるものは考えられず、カメラを縦向きで使えば2行で足る事になります。


NEW !
桜パノラマ1

  栃木市、太山寺

※1;カメラの画角、焦点距離等についてはこのサイトを参考にしています。

関連サイト;ねずっころ通信